(2026年1月23日 連載12日目)
皆さん、こんにちは。 中村知也です。
この連載は、私が「正解」を教えるものではなく、 私の学びを皆さんと一緒に、共有し考えていく場にしたいと思っています。
これまで、アメリカの移民緩衝材と欧州の福祉・文化的多様性を振り返ってきました。 今日は、最後の世界比較として、韓国に焦点を当て、 なぜ韓国は世界で最も急激な出生率低下を起こしているのか、 そして**日本と共通する「罠」**は何かを、一緒に考えてみましょう。
韓国の合計特殊出生率(TFR)は、2024年に0.75まで低下し、 2025年現在も0.7台前後で推移し、世界最低水準を更新し続けています(韓国統計庁・国連人口部データに基づく)。 出生数は2025年推計で約23万人と、過去最低を更新。 1950年代の約6.1(TFR)からわずか70年でここまで落ち込んだのは、 人類史上類を見ない急激さです。
なぜこんなに急激に低下したのでしょうか。
韓国では、以下の要因が重なり、 本能の「産む欲求」を理性が強く抑え込んでいるように思われます。
- 長時間労働文化:週52時間上限後も残業が常態化しており、OECDデータによると2024年の平均労働時間は1,865時間と平均1,736時間を上回る長さです(OECD労働時間データベース)。これが育児時間不足を生み、子を持つプレッシャーを高めているように思われます。
- 住宅費・教育費の高騰:ソウルでの1寝室アパート平均家賃は約910,000 KRW(2026年1月22日現在レートで約9.7万円前後)と高額で、教育費も急増。韓国統計庁の2024年私教育支出調査では、平均月額が上昇し、家計を圧迫しています(韓国統計庁私教育支出調査 → 「Private Education Expenditure Survey」から確認)。これが「子ども1人でも精一杯」という感覚を強めているのではないでしょうか。
- ジェンダー不平等の残存:女性のキャリアと育児の両立難が続き、OECDデータでジェンダーペイギャップ(男女の賃金格差)は31%と最高レベルです(ジェンダーペイギャップとは、男女の平均賃金差をパーセントで示したもので、女性の賃金が男性より低い割合を表します)(OECD Gender Pay Gap 2025)。2025年の新法で育児休暇を18ヶ月拡張する動きがありますが、女性の負担が依然大きいように見えます。
- 競争社会のプレッシャー:就職・受験戦争が激しく、2025年の調査で若者のストレス・燃え尽き症候群が増加。Space-Out Competition(何もしないコンテスト)のようなイベントが人気なのも、競争疲労の表れかもしれませんね(Space-Out Competition公式)。
こうした要因が重なり、 本能の「産む欲求」を理性が強く抑え込んでいるように思われます。
特に、 「子ども1人育てるコストが家計を破壊する」 「仕事と育児の両立が不可能」 という実感が、若年層の間で急速に広がったように思われます。
これは、日本と驚くほど共通する「罠」です。
- 日本も韓国も、急速な経済成長で物質的豊かさを達成
- しかし、その豊かさが「質投資」の極端化を招き、 「少ない子でいい」から「ゼロでもいい」へシフト
- 長時間労働・教育費負担・住宅不安が、 本能の「産む力」を理性が完全にブロック
韓国は日本より10〜20年先行してこの罠に深く嵌まり、 出生率が0.7台まで落ち込んだ結果、 軍事義務(男性は18〜21ヶ月の徴兵制が義務づけられ、若者の就職・結婚・出産を遅らせるため、人生計画を大きく制限し、出生率低下をさらに悪化させる要因の一つとなっていると考えられているようです)や経済構造がさらに悪循環を生んでいるように見えます。
韓国は移民政策も徐々に拡大しており、 2020年代に入り、特定技能外国人労働者の受け入れを増やし、 2025年時点で外国人労働者は約100万人規模に達していますが、 低スキル層中心のため、長期的な人口置換えとしては負担が大きいという指摘もあります(韓国法務部・移民局2025年統計)。
私自身、韓国の状況を見ると、 「日本は韓国と同じ道をたどっているのか?」 「でも、まだ手遅れではないのではないか?」 と、さまざまな思いが浮かびます。
どちらの国も、簡単な答えはないのかもしれません。 移民は短期的に人口を支える一方で、 文化・社会保障・感情的な負担も生む可能性がある。 一方で、国内で出生率を上げるには、 今の社会システムを変える大きな努力が必要かもしれません。
この連載では、 世界のさまざまなアプローチを眺めながら、 日本の未来をどう描くべきか、 一緒に、少しずつ考えていきたいと思います。
明日(Day 13)は最終回、 「あなたはどう抜け出す? 希望の道筋と行動」 でお話しします。
今日も、少しでも心に響くところがありましたら、 ぜひご自身の思いを振り返ってみてくださいね。
中村知也 2026年1月23日
#進化の罠連載 #少子化を一緒に考える #韓国出生率 #共通の罠 #本能と理性
(参考: 韓国のTFR・出生数は韓国統計庁「人口動態統計」および国連人口部2025年データに基づく。 長時間労働はOECD労働時間データベース2024年値、ジェンダーペイギャップはOECD Gender Pay Gap 2025年データ、Space-Out Competitionは韓国文化イベントの公式情報に基づく。移民政策は韓国法務部・移民局2025年統計を参考に簡易的にまとめています。軍事義務の悪循環は韓国国防省・OECD報告の人口危機分析に基づく。)

