(2026年1月20日 連載9日目)
この連載は、私が「正解」を教えるものではなく、
私の学びを皆さんと一緒に、共有し考えていく場にしたいと思っています。
これまで、戦後ベビーブームの爆発や経済成長期の質投資シフトを通じて、
本能と理性がどう変化してきたかを振り返ってきました。
今日は、いよいよ現代の日本に焦点を当て、
「豊かさの二重構造」が私たちの感情にどんな無力感を生んでいるのか、
一緒に考えてみましょう。
現代の日本は、物質的には本当に豊かです。
コンビニは24時間開いており、安いものも高いものも、美味しいものも溢れています。
スマホ一つで世界中の情報や商品が手に入り、
医療・教育・インフラは世界最高レベルと言われています。
私自身、こうした日常の便利さを実感するたびに、
「これほど恵まれた時代はないな」と感じる瞬間があります。
しかし、同時に、情報として貧困や格差を意識せざるを得ない現実があります。
たとえば、
- 非正規雇用が若年層で約30〜40%(総務省労働力調査2025年)
- 相対的貧困率が約15〜16%(厚生労働省・OECDデータ)
- 子どもの貧困率が約11.5%(2024年推計)
- 所得格差の拡大で「豊かな3割 vs 生活厳しい7割」の二極化が進んでいる
こうしたデータがメディアやSNSで繰り返し流れるため、
頭では「貧困化が進んでいる」と理解してしまう。
一方で、手元には物やサービスが溢れているので、
「豊かさを実感する日常」と「貧困を意識する情報」が並行して存在し、
心の中で大きなギャップが生まれているように感じます。
この「豊かさの二重構造」こそが、
現代の感情的無力感の大きな原因ではないでしょうか。
本能は「資源が豊富なら、少ない子に集中投資すればいい」と正しく判断しているのに、
現実の経済不安や長時間労働が、
「少ない子でも負担が大きすぎる」「子どもを持つ余裕がない」
という感覚を強めてしまう。
母性・父性の絆を育む「心の力」が、
物質的には豊かなのに、時間・お金・精神的な余裕が追いつかない
というギャップに押しつぶされそうになる。
私自身、この二重構造を考えると、
「物は溢れているのに、なぜこんなに心が貧しく感じるんだろう」
と、遠い空を眺めます。
一方で、子どもを望まない選択をする人も増えていて、
どちらの思いも、今の社会の中で自然に生まれてきているように感じます。
この連載では、
そんな複雑で多様な思いを否定せずに、
歴史や世界の例を見ながら、
一緒に、少しずつ向き合っていきたいと思います。
明日(Day 10)は、
「世界比較1:アメリカの移民緩衝材と個人主義」
についてお話しします。
Day 8はこちら
Day 10へ続く
今日も、少しでも心に響くところがありましたら、
ぜひご自身の思いを振り返ってみてくださいね。
中村知也
2026年1月20日 朝
進化の罠連載 #少子化を一緒に考える #豊かさの二重構造 #感情的無力感 #本能と理性
(参考:
相対的貧困率・子どもの貧困率は厚生労働省「国民生活基礎調査」2024年およびOECDデータに基づく。
非正規雇用率は総務省労働力調査2025年最新値。
物質的豊かさの実感は総務省家計調査・消費者物価指数の推移を参考に簡易的にまとめています。)
