児童の学習用端末は、有害なサイトに届かないか

※この記事の内容は、令和6年第1回定例月会議 第5号(2024年3月18日)当時の情報です。答弁にあった制度・運用は、その後変更されている可能性があります。

令和6年第1回定例月会議 第5号(2024年3月18日)の一般質問で、「情報リテラシー教育」を取り上げた。以下は議事録に基づく。

教育部長は「不適切なサイトや有害なサイトへアクセスできないようにするためのフィルタリングを設定している」と答弁した。私は実際に児童用のタブレット端末を使って確かめたところ、フィルタリングを通過して成人向けとされるサイトに到達したと議場で説明した。

この動画はNotebookLM(Google)を用いて、本記事の内容をもとに作成しました。内容は本人が確認しています。

すべて表示する

何が起きたか

登壇で、児童タブレット端末の使用を起因とする事故が起きていないか教育部長に質問した。教育部長は「デジタル技術の進展にともなうトラブルは全国的に頻発しており、本市も学校ICT推進担当端末利用にともなうトラブルの未然防止・対応にあたる、市教育委員会内の担当部署。議事録では、業者・警察等関係機関との連携にあたる部署として説明されている。を設置し、業者や警察等関係機関と連携しながら未然防止に努めている」と答弁した。

これを受けた再質問で、協力者の子が使っている学習用端末(ChromebookGoogle社のOS「Chrome OS」を搭載したノート型端末。低コスト・管理のしやすさから、GIGAスクール構想における学習用端末として全国の自治体で広く採用されている。)を借り、実際にフィルタリングがどこまで機能するかを自分で確かめたと説明した。

ごく一般的な単語ひとつをGoogleの検索窓に入力したところ、検索結果の上位のいくつかにはブロックがかかっていたが、途中のあるサイトはブロックを通過し、その先は成人向けとされる漫画配信サイトだった。別の機会には、辞書サイトで言葉の意味を調べただけでも、成人向けの広告にたどり着いた。

この記事では、実際に使った検索語やブロックを通過した順位はあえて書かない。議事録には記録されているが、同じ手順をなぞれる情報を記事側で増やすことは避ける。

この先には、議事録に基づき、児童の学習用端末から成人向けコンテンツへ到達した経緯についての記述があります。

作品名・画面の再現・具体的な検索手順は書いていません。お子さんと一緒に読む場合はご配慮ください。

議場では、到達した漫画配信サイトの内容について、暴力・虐待の描写を含む成人向け作品だったと説明した。あわせて、ブロックがかかる大手サイトの一部でも、教員と生徒の関係を扱った作品の中に同種の暴力的な内容が含まれていたと述べた。

他市の事例として伝え聞いたといういじめの事案にも触れたが、これは伝え聞いた話としての紹介であり、この記事ではその事案の有無・真偽は扱わない。

問い: フィルタリングが「設定されている」ことと、実際にどこまで機能しているかは、同じことか。

市が説明した守り方

再質問を受け、教育部長は次のように答弁した。

  • 不適切・有害なサイトへアクセスできないようにするフィルタリング未成年者が違法・有害なウェブサイトにアクセスすることを技術的に制限する仕組み。学校向けには、アダルトサイトや暴力的表現を含むサイト等を対象に、事業者が提供するサービスを利用して設定されることが多い。を設定しており、端末で利用可能なアプリの設定は事業者へ委託している
  • 端末利用開始にあたり、市独自の教材「GIGAスクールワークブック」を作成し、児童・生徒と保護者へ不適切なサイトへのアクセスに注意するよう指導を徹底してきた
  • 授業中は教師が画面を確認・共有できる体制になっており、技術的にアクセスが可能でも事実上アクセスできないよう徹底している
  • 持ち帰りにあたっても、利用目的以外のアクセスはチェックできる旨を児童・生徒に指導しており、そのような事実が確認されれば即時に対応する体制を取っている

導入の経緯

教育部長によれば、本市では国のGIGAスクール構想文部科学省が推進する、児童・生徒1人1台の学習用端末と高速通信ネットワークを整備し、個別最適な学びと協働的な学びの実現を目指す施策。2021年に公立小中学校での1人1台環境がおおむね整備された。が始まる以前の平成29年度から、上小学校を研究校に指定して学習支援アプリを先行導入していた。その後、国の施策により児童・生徒1人1台の端末整備が完了し、「タブレット端末は使うことが目的ではなく、学習目標を達成するためのツールである」という理解を全教職員で共有してきたという。

質疑で確認できたこと

質問・指摘 教育部長の答弁
実機で確認した内容をもとに、「安全だと言って持たせたが、安全ではないと思う。どう考えるか」 指摘したような有害サイトへのアクセスは「当初から想定していた」。技術的にアクセス可能でも、運用面で事実上アクセスできない体制を徹底している
端末の危険性は、全て禁止にするか、使い続けるかという単純な話ではないはず 危険なものを全て駄目にするか、全国ほぼ全ての自治体が活用する端末を本市だけ禁止にするかという議論になる。情報リテラシーと、児童・生徒の道徳的判断力、教師・保護者の意識向上が大事
本市は児童とその家族を守る気があるか、端的に 守る気持ちは十二分にある

※他市のいじめ事案(伝聞)は、議事録にはあるが、この記事の検証対象からは外している。

同意の撤回について

「自分の家族を守るため、子供に端末を使わせたくない。同意書を書いて同意したが、破棄したい。その方法はどうすればよいか」と質問した。これに対し教育長は次のように答弁した。

  • 端末の導入は学習ツールとしての利用が目的であり、目的外の活用をしないよう徹底している
  • 4年生以下はAI搭載の学習支援アプリ生成AI等を組み込み、個々の理解度に応じた問題提示や解説を行う学習アプリ。議事録では、低学年ではこの種のアプリを導入していないと説明されている。を導入しておらず、自然環境や地域とのつながりを生かした教育活動を主にしている
  • 「家庭の同意がなければ活用できないということであれば、保護者の意向は最大限尊重したい」
  • ただし学習指導要領文部科学省が定める、全国共通の教育課程の基準。学校が各教科等で教える内容や目標を大まかに規定しており、教科書や時間割はこれをもとに作られる。おおむね10年ごとに改訂される。が目指す「変化の激しい時代を主体的に生きる力」は、各校・各家庭と協働して育む必要があるとも述べた

教育長の答弁は「保護者の意向は尊重したい」という意向の表明にとどまり、同意を撤回するための具体的な申請書式や手続きには触れていない。議事録上、その先の手続きが確認できるかどうかは分からない。

残っている論点

  • 「大きなトラブルが全国的に頻発している」という答弁は一般論にとどまり、本市での発生状況そのものへの言及はない
  • 授業中の教師によるアクセス確認と、持ち帰り時の指導・事後チェックは、運用の厳しさが異なるはずだが、その違いは議事録からは分からない
  • フィルタリングを委託している事業者名や、委託内容の詳細は答弁に出ていない
  • 同意を撤回したい保護者が実際に取れる手続き(書式・窓口)が、公開文書として存在するかどうかは確認できていない

出典

令和6年第1回定例月会議 第5号(2024年3月18日)。一般質問(大項目1の2「情報リテラシー教育について」)、教育部長・教育長の答弁部分(会議録165頁〜177頁)による。

タイトルとURLをコピーしました